人工的な空の下で

わりとガチで人って死ぬのねって
渦巻く排水溝に吸い込まれる
使い捨てコンタクトレンズを見てて不意に思う
わざとらしさと作為の境界線を
カマドウマが跳躍して着地した先は
清潔な古民家カフェの便所で
BGMが計ったように般若心経を唱える

空にはたくさんの雲が浮かび
春夏秋冬どの季節にもあり得ない模様を
さも当然に有るように描き出す
卓上のフライドポテトは白く湿気て
塩味の輪郭線がぼやけていく
斜陽の台所から聞こえるのは
表情のない電動ミキサーの音

アラスカではクマが戦っていた
ロシアではピロシキを食っていた
アメリカでは狂牛病が流行っていた
フィンランドでは愛を交感していた

反戦を願ったロックは退潮して
ファストフードみたいなティクトクが
面倒臭がりのコミュニケーションを生み
好きな物は好き 嫌いなものは嫌い
さらっとした人差し指でフリックする
蜂蜜を運んでいた日本ミツバチが
子孫を育むための営みを続けていたその頃
新宿のカプセルホテルで若者が
早死にの方法をネットで検索していた
疲弊した太陽は西に傾き
二度と顔を出さないと望んで没した






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